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ITサービスマネジメントに携わるなら知っておきたいITILの歴史

IT業界で働こうと思ったら、当たり前の様に要求される知識となったITIL。一昔前には見向きもされていませんでしたが、ここ10年で日本国内でもIT業界で働く上で必須の知識になりました。特にシステム運用やサービスマネジメントと呼ばれる分野で働く方には必須の資格です。これからシステム運用に携わる方や、ITILって何なの?という方向けに、今回はITILの生い立ちをご紹介します。

ITILとは

イギリス政府が収集した「実践されているITサービスのマネジメント」 の中で良いと認められた手法をまとめた書籍群の事を指しています。あくまでもベストプラクティスなので、全てのプロジェクトにおいて最善の結果が得られる訳ではありません。しかし、成功率を上げるために寄与してくれることは確実なので、世界中のITシステムの運用に関わる多くの企業で採用されている仕組みです。

近年では、ITシステムを提供する企業では中途採用者(転職者)の採用条件に、ITILの入門資格「ITILファウンデーション」の取得を必要としている企業も散見されるようになってきました。

ITILの歴史

ITILの起源

ITILは、イギリス政府が1980年代後半から1990年代の初めにかけて整備した、IT利用高度化のガイドラインが起源となっています。当時、イギリス政府は膨れ上がるIT投資や、システムの運用効率化が進まないことに懸念を抱いていました。一言で言えば、コストパフォーマンスが悪くて予算を圧迫していたんですね。そこで、イギリス政府は運用を標準するガイドライン作成して、そのガイドラインに準じたITサービスの提供を取引業業者に求めることにしました。

ガイドラインを作成するために、イギリス政府は関連する機関に指示して、ITを有効活用している先進企業を調査したり、ITサービスの提供方法を整理する活動を行ないました。その成果は40冊を超える書籍に纏められ、これがITILの初版となる「ITIL V1」として完成しました。

ITILは国際規格へ

ITILは今までに3度の大きな改訂が行なわれています。ITIL V1は世界から注目されることはありませんでしたが、1990年代後半から2004年にかけて改版され、V1で纏められた40冊余りの書籍を7つの分野に分けて再編成されました。

その1つの背景として、サービス指向アーキテクチャー(SOA:Service Oriented Architecture)などの新しいアーキテクチャーやRAD(Rapid Application Development)などの新しい開発技法の登場、仮想化などの技術的な進歩、アウトソーシングの普及などのITサービス提供形態の変化など、ITILを取り巻く環境が大きく変化してきたことがあげられています。

7つの分野に編成され、より利用しやすいベストプラクティス集となったことから、ITILは世界から注目を浴びました。実質的に世界に広まったのは、このITIL V2です。ITILは、2005年12月にISO/IEC 20000として国際規格となり、日本国内でも2007年4月にJIS Q 20000として規格化されています。

2007年5月、ITIL V3の中核となる書籍5冊が一括して発刊されました。サービスストラテジ、サービスデザイン、サービストランジション、サービスオペレーション、継続的サービス改善(CSI)の5冊です。ITIL V3では、新しくITサービスマネジメント・ライフサイクルの考え方が導入され、その観点で全体の構成が再整理されました。2008年5月から8月に、日本語翻訳版も相次いで発刊されました。

2009年にITILを発行したOGCは、ITIL® V2の認証を取り下げるつもりであること、今後どう進むべきかに従って主要な協議を開始することを正式に発表しました。2011年7月、2007年に発刊されたITIL V3へのアップデートを提供するITIL 2011 editionが発刊されました。ITIL 2011 editionではサービスストラテジについて大幅な改定が行われました。2012年11月から2013年2月に、日本語翻訳版も相次いで発刊されました。

現在、OGCはCabnet Office(内閣府)に統合され、すでにITILの所有者ではありません。ITIL 2011 editionの所有者は英国政府となっています。ITILのIP(Intellectual Property:知的財産権)管理は、これまで認定スキームをAPMG(The APM Group Ltd.)が、そしてコア書籍の出版をTSO(The Stationary Office)が、それぞれ英国政府から受託していましたが、2014年1月からはそれらのIP管理が統合され、AXELOSという組織に移管されました。

今回はITILの成り立ちと歴史について簡単に紹介しました。次回は具体的にどのような考え方でITILが構成されているのかについて、ご紹介したいと思います。

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