リモートワーク環境下でのチームマネジメントに悩む現役PMが、「繋がりが薄く、人となりが把握できないメンバーをどう動かすか」という課題解決を求めて手に取った一冊。22年間のIT業界経験で培った対面マネジメントスキルが、リモート環境では通用しない現実に直面していた44歳のプロジェクトマネージャーが、新入社員・中途社員・プロジェクト参画メンバーとの関係構築と目標達成の方法論を学ぶために選んだ実践的指南書を徹底レビューします。
🔸 3つの「こ」で目指すメンバー像
「個として立つ」「心の距離が近い」「ここがいい」の明確な指針
🔸 10のポイントによる具体的実践法
理論ではなく現場で即実行できる行動指針を網羅
🔸 15のリアルケーススタディ
新入社員から退職検討者まで多様な状況への対応策
🔸 リクルート150社の知見活用
著者の豊富なコンサルティング経験に基づく実証済み手法
🔸 対面マネジメントへの応用可能
リモート特有の課題解決が従来マネジメントも進化させる
🔸 組織環境整備への言及
マネージャー個人だけでなく会社全体でのサポート体制
🔸 メンバーの自立促進重視
管理から支援へのマネジメントスタイル転換指針
📚 書籍タイトル
リモートマネジメントの教科書 個と組織を生かす
✍️ 著者
武藤久美子(リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブコンサルタント)
🏢 出版社
クロスメディア・パブリッシング
💰 価格
1,848円(税込)
📖 ページ数
304ページ
📅 発売日
2021年3月1日
🎯 対象読者
リモートワーク環境でメンバーマネジメントに悩むマネージャー・チームリーダー
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プロジェクトマネジメント職に就いて4年、44歳の私が直面していたのは「リモートワーク環境での人材マネジメントの難しさ」でした。22年間のIT業界経験で培ってきた対面でのコミュニケーションスキルが、リモート環境では思うように機能しない現実がありました。
特に困っていたのは、新入社員や中途社員、プロジェクトに新たにJOINしてくれたメンバーとの関係構築です。対面であれば、ちょっとした表情の変化や雰囲気から相手の状況を察知できましたが、画面越しでは「この人はどのように行動し、考えるのか」「人となりをどう把握すればいいのか」が全く見えませんでした。
チームを目標に向かって動かす必要があるのに、メンバー一人ひとりとの繋がりが薄く、適切なマネジメントができているのか不安を感じていました。そんな時に書店で目にしたのが「リモートマネジメントの教科書」でした。リクルートという人材のプロフェッショナルが書いた実践的な内容に期待し、手に取ったのです。
本書の核心である「3つのこ」は、リモートワーク環境でメンバーに目指してもらいたい状態を明確に示しています。
🎯 自律性の向上
メンバーが自分で判断し、行動できる状態を作り出す
🎯 セルフマネジメント能力
指示待ちではなく、自ら課題を発見し解決に向けて動ける人材の育成
🎯 成果に対する責任感
個人として成果を出すことへの当事者意識の醸成
これまでの私のマネジメントは「細かく指示を出し、進捗を管理する」スタイルでしたが、リモート環境では物理的に困難です。本書を読んで、「管理から支援へ」のスタイル転換の重要性を理解しました。実際に新入社員に対して、最初に大きな方向性だけを示し、途中経過の報告タイミングを本人に委ねる方式に変更したところ、想像以上に自律的に動いてくれるようになりました。
💫 信頼関係の構築
物理的な距離があっても心理的な安全性を確保
💫 コミュニケーションの質向上
量ではなく質の高いコミュニケーションによる関係強化
💫 相互理解の促進
メンバーの価値観や働き方への理解を深める
中途入社者との関係構築で特に効果を感じました。従来は業務の話が中心でしたが、本書のアドバイスに従って「その人の価値観や大切にしていること」を聞く時間を意識的に作るようにしました。結果として、プロジェクトに対する本人のモチベーションが格段に向上し、積極的な提案をしてくれるようになりました。
🏆 組織への帰属意識
チームや会社に対する愛着と誇りの醸成
🏆 働きがいの実感
自分の仕事に意味と価値を感じられる環境作り
🏆 継続的な成長実感
この環境で成長し続けられるという確信
リモートワークでは「孤独感」や「疎外感」を感じるメンバーが多いという課題がありましたが、「ここがいい」の実現により、チーム全体の離職率が大幅に改善しました。具体的には、メンバーの成長を定期的に言語化してフィードバックし、チーム全体での成果を共有する場を増やしたことが効果的でした。

本書では「3つのこ」を実現するための具体的な行動指針として「10のポイント」が示されています。これらは理論ではなく、現場で即実行できる実践的な内容です。
🔧 メンバーが自走できるゴールを置く
曖昧な指示ではなく、メンバーが自分で判断できる明確なゴール設定
🔧 メンバー・仕事を見積り、任せる
相手の能力とタスクの難易度を適切に評価し、段階的に権限委譲
🔧 成果創出の支援をする
結果だけでなく、成果を出すプロセスでの適切なサポート
🔧 関与のタイミングを見極める
過度な介入を避け、本当に必要な時にサポートを提供
🔧 成果とプロセスを振り返り、メンバーのブランドをつくる
個人の強みを明確化し、チーム内での専門性を確立
💝 メンバーを知る努力を続ける
業務面だけでなく、価値観や人となりを理解する継続的な取り組み
💝 心理的安全性のある場をつくる
失敗を恐れず、率直に意見を言える環境の構築
💝 組織・チームの一体感を醸成する
リモートでも「チームの一員」という実感を持てる取り組み
💝 メンバーの成長を言語化して伝える
具体的な成長ポイントを明確に伝え、自信とモチベーションを向上
💝 多様性を活かす場をつくる
それぞれの強みや特性を活かせる役割分担と機会創出
本書の最も実用的な部分は、リアルな15のケーススタディです。実際に現場で遭遇する様々な状況への対応策が具体的に示されています。
📝 入社後すぐにリモートワークとなる中途入社者
オフィスを知らない状態でのオンボーディング手法
📝 新入社員の受け入れは中途入社者と同じで良い?
経験値の違いを考慮した個別対応の重要性
私が特に参考になったのは、中途入社者のケースでした。従来は「即戦力だから任せておけば大丈夫」と考えがちでしたが、リモート環境では組織の文化や暗黙知を伝える機会が限られることを学びました。本書のアドバイスに従って、中途入社者に対しても最初の3ヶ月は手厚いサポートを行うようにしたところ、早期の戦力化が実現できました。
🔄 リモートワークで相談が来なくなったマネジャー
メンバーからの自発的な相談を促す環境作り
🔄 雑談が減ってしまった職場
意図的なコミュニケーション機会の創出方法
🔄 働き過ぎているが、周囲に助けを求めないメンバー
孤立しがちなメンバーへの適切なサポート
「相談が来なくなった」ケースは、まさに私が直面していた課題でした。解決策として実践したのは、定期的な1on1の設定と、「何でも話せる時間」の確保です。業務の話だけでなく、困っていることや気になることを気軽に話せる雰囲気作りを意識した結果、メンバーからの相談件数が3倍に増加しました。
本書を読んでから6ヶ月間、「3つのこ」と「10のポイント」を実際のプロジェクトで実践してみました。
🎯 最も効果的だった変化
「管理から支援へ」のマネジメントスタイル転換により、メンバーの自律性が格段に向上しました。これまでの「指示→実行→確認」サイクルから、「目標共有→自律実行→成果共有」サイクルに変わったことで、プロジェクト全体の生産性が25%向上したのです。
22年間のIT業界経験で培った対面マネジメントスキルと、本書で学んだリモートマネジメント手法を組み合わせることで、従来以上に効果的なチーム運営が可能になりました。特に、メンバーの「人となり」を理解する手法は、リモート環境だけでなく対面でも活用できる汎用的なスキルとして身につきました。
🏢 150社以上のコンサルティング実績
様々な業界・規模の企業でのリモートワーク導入支援経験
🏢 リクルート社内での実践経験
2013年からのテレワーク段階的導入による豊富な知見蓄積
🏢 先進事例の創出実績
小売業の店長在宅勤務制度、金融企業のリモートワーク導入など業界初の取り組み支援
🏢 自身のリモートワーク達人経験
10年以上の個人的なリモートワーク活用による現場感覚
本書の内容が机上の空論ではなく、実際の現場で検証された手法であることが、読んでいて強く伝わってきました。特に、ケーススタディで紹介される「メンバーの心理状態」の描写は非常にリアルで、「この状況、うちのチームでもある!」と思える場面が多数ありました。
🆚 一般的なリーダーシップ本との違い
抽象的な理論ではなく、リモート環境特有の課題に特化した実践的解決策
🆚 従来のチームマネジメント本との違い
対面前提の手法ではなく、物理的距離がある環境での人間関係構築に焦点
🆚 HR・人事系書籍との違い
制度設計ではなく、現場マネージャーが明日から実行できる行動レベルでの指南
これまで読んできたマネジメント関連書籍の多くは、対面でのコミュニケーションを前提としていました。しかし本書は、「画面越しでどう相手を理解するか」「テキストコミュニケーションでどう感情を伝えるか」といった、リモート環境ならではの課題に正面から取り組んでいる点が画期的でした。
本書の優れた点の一つは、マネージャー個人の努力だけでなく、組織全体でのサポート体制についても言及していることです。
🏗️ IT環境・ツールの整備
効果的なリモートワークを支える技術基盤の重要性
🏗️ 評価制度の見直し
成果主義へのシフトと過程評価のバランス
🏗️ マネージャー支援体制
マネージャー自身のリモートマネジメントスキル向上支援
🏗️ 企業文化の変革
リモートワークを前提とした新しい働き方文化の醸成
私の場合、本書を読んだ後に上司に「リモートマネジメント向上のための予算確保」を提案し、チームメンバー全員に高品質なWebカメラとヘッドセットを支給してもらいました。結果として、オンラインミーティングの質が格段に向上し、「心の距離が近い」状態の実現に大きく貢献しました。
💻 技術者特有のコミュニケーション課題解決
論理的思考が強いエンジニアにとって苦手な「感情面」でのマネジメント手法
💻 分散開発チームでの実践活用
地理的に分散したメンバーとのプロジェクト推進方法論
💻 アジャイル開発との親和性
自律的なチーム運営を重視するアジャイル手法との相性
💻 キャリアアップへの寄与
技術力だけでなく、人材マネジメント力向上による市場価値向上
ITエンジニア出身の私にとって、最も価値があったのは「技術的な正しさ」だけでなく「人の感情」を重視するマネジメントの重要性を学べたことです。コードレビューの際も、単に技術的な指摘をするだけでなく、相手の学習意欲や自信に配慮したフィードバック方法を身につけることができました。
総合評価:⭐⭐⭐⭐⭐(4.8/5)
実用性: ⭐⭐⭐⭐⭐ – 明日から実行できる具体的なアクションプランを提供
読みやすさ: ⭐⭐⭐⭐⭐ – 304ページながらケーススタディ中心で読みやすい構成
IT適用性: ⭐⭐⭐⭐⭐ – ITチームでの分散開発やリモートワークに直接活用可能
長期価値: ⭐⭐⭐⭐ – リモートワークが定着した現在において継続的に参照できる
コストパフォーマンス: ⭐⭐⭐⭐⭐ – 1,848円で得られる実践的価値は極めて高い
✅ 明確な理論フレームワーク
「3つのこ」「10のポイント」という覚えやすく実践しやすい体系
✅ 豊富なケーススタディ
15の実際的な事例により、様々な状況への対応策を学習可能
✅ 即効性のある実践性
読後すぐに現場で活用できる具体的なアクションプラン
✅ 著者の豊富な実績に基づく信頼性
150社のコンサルティング経験による検証済み手法
✅ 組織全体への視点
マネージャー個人だけでなく組織としての支援体制まで言及
❌ 技術的なリモートワーク手法は少ない
ツールの使い方や技術的なセットアップ方法よりも人間関係に焦点
❌ 実践には継続的な努力が必要
一度読んだだけでは効果なし、継続的な実践と改善が不可欠
❌ 組織の協力が前提
個人レベルでの限界があり、組織としての理解と支援が必要な場面もある
✅ おすすめできる人
リモートワーク環境でのチームマネジメントに悩む30代〜40代のマネージャー・PM
✅ おすすめできる人
新入社員や中途入社者の受け入れ・育成を担当するチームリーダー
✅ おすすめできる人
分散開発チームやリモートメンバーとのプロジェクト推進を行うITエンジニア
✅ おすすめできる人
従来の対面マネジメントからリモートマネジメントへの転換を図りたい人
✅ おすすめできる人
メンバーとの「心の距離」を縮め、チームの一体感を高めたい人
❌ おすすめしない人
リモートワークツールの技術的な使い方を学びたい人
❌ おすすめしない人
短期的な成果やテクニック論を求めている人
❌ おすすめしない人
人間関係よりも業務効率化のみに関心がある人
⚠️ 段階的な導入を重視
10のポイントを一度に実践せず、メンバーの状況に合わせて段階的に導入
⚠️ メンバーとの対話を重視
一方的な変更ではなく、メンバーとの対話を通じて理解と協力を得る
⚠️ 継続的な振り返りと改善
定期的にマネジメント手法の効果を検証し、必要に応じて調整
⚠️ 自分自身の変化も受け入れる
メンバーだけでなく、マネージャー自身の働き方や価値観の変化も必要
現役PMとしての経験から、最も重要なのは「完璧を求めすぎない」ことでした。本書の手法も、いきなり全てを実践するのではなく、チームの状況に合わせて少しずつ導入することで、より効果的な結果を得ることができました。
🔄 Before(読書前)
リモートワークは「仕方なく対応するもの」として捉え、対面マネジメントの劣化版と考えていた
🔄 After(読書後)
リモートマネジメントを「新しいマネジメントスタイル」として積極的に活用し、従来以上の成果を実現
🎯 具体的な変化
メンバーとの関係性が深まり、チーム全体のパフォーマンスと満足度が同時に向上
🎯 長期的な効果
マネジメントスキル全般が向上し、対面でのマネジメントも以前より効果的になった
44歳という年齢で新しいマネジメント手法を学ぶことに最初は抵抗がありましたが、本書の内容を実践することで「年齢に関係なく成長できる」という実感を得ました。特に、メンバーの「人となり」を理解する手法は、22年間のIT経験でも学べなかった貴重なスキルとなりました。
「リモートマネジメントの教科書」は、リモートワーク環境での人材マネジメントに悩む44歳現役PMにとって、まさに求めていた実践的指南書でした。新入社員・中途社員・プロジェクト参画メンバーとの「繋がりが薄く、人となりが把握できない」という課題を、「3つのこ」「10のポイント」「15のケーススタディ」という明確な体系で解決できました。
特に価値が高いのは、理論だけでなく150社のコンサルティング経験に基づく実証済みの手法である点です。304ページの中に、明日から実行できる具体的なアクションプランが詰まっており、6ヶ月間の実践でチーム離職率15%→3%という劇的な改善を実現できました。
1,848円という価格で得られる価値は極めて高く、リモートワーク環境でのマネジメントに悩む全てのリーダーに強く推奨できます。ITエンジニア・PM・チームリーダーとして、技術力だけでなく人材マネジメント力の向上を図りたい人にとって、必読の一冊と断言できます。
としゆき