2021年のPMBOK第7版リリースと同時に実施されたPMP試験の改定により、プロジェクトマネジメント資格試験は劇的に変化しました。従来のウォーターフォール中心の内容から、アジャイル・ハイブリッド型が50%を占める現代的な試験へと進化。22年間のIT経験を持つサービスマネジャーとして、この変化がいかに重要かを実感しています。
✅ PMBOK第7版は原理・原則ベースに大転換
従来の詳細プロセス中心から、12の原理・原則と8つのパフォーマンス領域へ
✅ PMP試験でアジャイル・ハイブリッド型が50%占有
予測型50% vs アジャイル・ハイブリッド型50%の新構成
✅ ECO(出題概要)が試験内容を決定
PMBOKは参考資料の一つ、ECOが実際の出題範囲を規定
✅ アジャイル実務ガイドが必須資料に
PMI公式のAgile Practice Guideが試験対策の核となる
✅ シナリオ問題中心の思考型試験
暗記ではなく状況判断とプロジェクトマネジャーとしての意思決定力を評価
✅ PMBOK第6版との併用学習が効果的
第7版単体では不十分、第6版の具体的プロセスも重要
✅ 2025年中の受験がおすすめ
PMBOK第8版リリース予定により、教材が充実している現在が受験好機
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PMBOK第6版まで700ページを超えていたボリュームが、第7版では270ページ程度に大幅削減されました。これは単なるページ数削減ではなく、コンテンツの根本的な転換を意味します。
📚 第6版の特徴
5つのプロセス群と10の知識エリアに基づく詳細なハウツー集。あらゆる手法を網羅しようとしていたため、辞書的な膨大な内容
🎯 第7版の特徴
12の原理・原則と8つのパフォーマンス領域に基づく考え方重視。手法の多様化に対応し、状況に応じたテーラリングを推奨
🎨 12の原理・原則
スチュワードシップ(倫理観)、協働的チーム環境、ステークホルダーとの効果的連携、価値重視、システム思考、リーダーシップ、テーラリング、品質重視、複雑性への対処、リスクへの対応、適応力と回復力、変革推進
⚡ 8つのパフォーマンス領域
ステークホルダー、チーム、開発アプローチとライフサイクル、計画、プロジェクト作業、デリバリー、測定、不確実性
2021年1月2日から実施されている新PMP試験では、出題構成が根本的に変更されました。従来の知識エリア別出題から、3つのドメイン別出題へと変化しています。
👥 人(People):42%
チームマネジメント、リーダーシップ、コンフリクト管理、コミュニケーション
⚙️ プロセス(Process):50%
プロジェクト管理プロセス、アジャイル・ハイブリッド型アプローチ
🏢 ビジネス環境(Business Environment):8%
戦略的アライメント、コンプライアンス、価値実現
最も重要な変化は、アジャイル・ハイブリッド型アプローチが50%を占めるようになったことです。
🏗️ 予測型(ウォーターフォール):50%
従来型のプロジェクト管理手法
⚡ アジャイル型:25%
スクラムを中心としたアジャイル開発手法
🔄 ハイブリッド型:25%
予測型とアジャイル型を組み合わせたアプローチ
多くの受験者が誤解しているのは、PMBOKが試験の全てを決めているわけではないということです。実際の出題範囲は、PMIが公表する「ECO」によって規定されています。
📋 ECOとは
PMIが公式に発表する試験出題概要。現在使用されているのは2021年1月版で、35のタスクに分かれて具体的な出題内容を明示
📚 PMBOKの位置づけ
ECOの参考文献の一つに過ぎません。PMBOK第7版単体では試験対策として不十分とされる理由がここにあります
ECOでは以下の公式資料が参考文献として挙げられています:
📘 PMBOK第7版
12の原理・原則と8つのパフォーマンス領域の理解
📗 アジャイル実務ガイド(Agile Practice Guide)
アジャイル・ハイブリッド型アプローチの必須資料
📙 プロセス群:実務ガイド
従来の5つのプロセス群の詳細解説(第6版の補完)
📝 その他PMI標準
リスクマネジメント、スケジュールマネジメント等の専門ガイド
PMBOK第7版対応の新PMP試験では、単一の教材では合格が困難です。以下の多層学習アプローチが効果的です。
🏗️ 第1層:PMBOK第6版の基礎固め
具体的なプロセスとツール・技法の理解。予測型アプローチの基盤構築
🎨 第2層:PMBOK第7版の原理習得
12の原理・原則と8つのパフォーマンス領域の理解。テーラリング概念の習得
⚡ 第3層:アジャイル実務ガイド
アジャイル・ハイブリッド型アプローチの詳細学習。スクラム、カンバン等の手法理解
🎯 第4層:ECOタスクの理解
35のタスクに基づく出題傾向分析。シナリオ問題への対応力強化
📅 学習期間:2-3ヶ月(1日1-2時間想定)
📍 Phase 1(2-3週間):基礎理解
PMBOK第7版の通読(原理・原則の理解)、PMI公式ECOの精読、アジャイル実務ガイドの概要把握
📍 Phase 2(3-4週間):詳細学習
PMBOK第6版の重要プロセス復習、アジャイル実務ガイドの詳細学習、シナリオ問題への慣れ
📍 Phase 3(2-3週間):問題演習
模擬試験の実施(最低3回)、弱点分野の集中学習、ECOタスク別の知識確認
✅ PMI公式資料
ECO、PMBOK第7版、アジャイル実務ガイドは必須。PMI会員登録での無料ダウンロードを活用
✅ オンライン問題集
JPS社の「PMP問題集+模擬試験」は1,180問収録で実践的。シナリオ問題に慣れるのに最適
✅ 第7版対応テキスト
「PM教科書 PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応」は日本語で理解しやすい
✅ Udemy英語コース
英語に抵抗がなければ、海外の最新コースが豊富で質も高い
✅ 35時間研修
受験要件でもあり、体系的な理解にも有効。ATP認定プロバイダーの選択が重要
❌ PMBOK第7版のみでの学習
第7版は原理・原則中心で、具体的なHow toが不足。第6版との併用が必須
❌ 暗記中心の対策
新試験はシナリオ問題中心。暗記では対応できない思考型問題が主流
❌ アジャイル学習の軽視
出題の50%を占めるアジャイル・ハイブリッド型を軽視すると合格は困難
❌ 古い教材での学習
2020年以前の教材は新試験に対応していない。最新の第7版対応教材を選択
PMBOK第8版のドラフトが2024年12月に公開され、2025年中のリリースが予想されています。過去の経験則から、第8版リリース後約6ヶ月でPMP試験内容も変更される可能性が高いです。
📚 教材の充実
現在は第7版対応教材が最も充実している時期。第8版移行期は教材不足が予想される
💡 ノウハウの蓄積
2021年以降4年間の受験ノウハウが蓄積され、効果的な対策法が確立されている
🎓 研修の安定性
ATP認定研修プロバイダーの第7版対応プログラムが成熟している
💰 コストメリット
第8版移行による追加コストや学習時間の増加を避けられる
🗓️ 理想的な受験スケジュール
2025年1-3月:学習開始、35時間研修受講
2025年4-6月:集中学習期間、問題演習
2025年7-9月:受験実施(余裕を持った計画)
これにより、仮に第8版が年後半にリリースされても、試験内容変更前に受験完了できます。
🎯 実用性の向上
原理・原則ベースのアプローチにより、現実のプロジェクト運営により適用しやすくなった
⚡ アジャイル対応
現代的な開発手法に対応し、ハイブリッド型アプローチの理解が深まる
🔍 思考力重視
暗記ではなく、状況判断力とプロジェクトマネジャーとしての意思決定力を評価
🌍 グローバル標準
世界160万人の資格保有者との共通言語として、キャリア価値が高い
💼 業界横断性
IT、建設、製造業など、あらゆる業界のプロジェクトに適用可能
📚 学習コスト増加
複数教材の併用が必要で、従来より学習時間とコストが増加
🌐 英語資料の多さ
最新情報や詳細資料が英語のみの場合が多く、英語への慣れが必要
🎯 対策の複雑化
シナリオ問題中心で、単純な暗記では対応できない
⏰ 変化の激しさ
PMI標準の変更が頻繁で、常に最新情報の確認が必要
PMBOK第7版と新PMP試験は、プロジェクトマネジメント業界に革命的な変化をもたらしました。従来のプロセス中心から原理・原則中心へ、ウォーターフォール一辺倒からアジャイル・ハイブリッド型重視へと大きく舵を切った変化は、現代のビジネス環境に即した進化と言えるでしょう。
特にアジャイル・ハイブリッド型が50%を占める新試験は、IT業界で働く我々にとって非常に価値の高い資格となりました。しかし、その分学習の複雑さも増しており、PMBOK第7版単体では不十分で、第6版、アジャイル実務ガイド、ECOを総合的に学ぶ必要があります。
2025年中の受験を強くおすすめします。第8版リリース前の今が、教材も充実し、対策法も確立された最適なタイミングです。
としゆき