プロジェクトマネジメント資格の二大巨頭、PMPとPRINCE2®。「どちらを取るべき?」という質問を、20年以上のIT経験を持つ筆者が、最新統計データと具体的な意思決定フレームワークで答えます。
💰 費用面
PMP:10万〜15万円(受験料・研修費込み)/ PRINCE2:8万〜12万円(Foundation+Practitioner)
💼 年収への影響
PMP取得者平均年収:1,072万円 / PRINCE2:日本での具体統計は限定的
📈 求人市場
PMP:日本国内で4.8万人の取得者、求人数豊富 / PRINCE2:ヨーロッパ系・国連系企業で需要
🎯 受験難易度
PMP:厳格な経験要件+3年毎更新 / PRINCE2:誰でも受験可能+更新なし
🌍 活用シーン
PMP:日本企業・グローバル汎用性 / PRINCE2:欧州系・国連・政府系プロジェクト
📊 ROI視点
PMP:3年で約200万円の年収増効果 / PRINCE2:コスト対効果は高いが日本では限定的
⚡ 意思決定ポイント
日本キャリア重視→PMP、欧州系・多様なフレームワーク理解→PRINCE2
📚 PMP(Project Management Professional)
米国PMI(プロジェクトマネジメント協会)が認定する国際資格。世界で160万人以上が取得し、日本でも4.8万人の有資格者がいます。PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)をベースとした、知識・技法重視のアプローチが特徴です。
🏛️ PRINCE2®(PRojects IN Controlled Environments)
英国政府商務局が開発したプロジェクトマネジメント手法。ヨーロッパを中心に世界で100万人以上が取得し、国連やロンドンオリンピックでも採用。プロセスと組織運営に重点を置いたアプローチが特徴です。
⏱️ 試験時間・問題数
230分で180問(4択選択式)
📋 受験資格
・大卒:3年以上(4,500時間)のPM経験
・高卒:5年以上(7,500時間)のPM経験
・35時間のプロジェクトマネジメント研修受講
🔄 資格更新
3年毎に60PDU(継続教育単位)の取得が必要
📊 Foundation試験
・試験時間:60分
・問題数:75問(うち5問は採点対象外)
・合格率:50%(70問中35問正解)
・受験資格:なし
📈 Practitioner試験
・試験時間:150分
・問題数:80問
・合格率:55%(80問中44問正解)
・受験資格:Foundation合格またはPMP取得者
・テキスト持込可(電子機器は不可)
🔄 資格更新
Foundation:更新不要 / Practitioner:5年毎(再受験)
💳 受験料
・PMI会員:405ドル(約59,000円)
・非会員:655ドル(約95,000円)
・PMI年会費:149ドル(約22,000円)
📚 35時間研修費
・オンライン研修:2万〜5万円
・対面研修:10万〜20万円
・Udemy等の格安講座:1,300円〜(セール時)
📖 教材費
・参考書:5,000円〜15,000円
・模擬試験:3,000円〜10,000円
🔄 3年毎の更新費
・PMI会員:60ドル(約9,000円)
・非会員:150ドル(約22,000円)
💳 受験料
・Foundation:約76,000円
・Practitioner:約81,000円
・合計:約157,000円(両方取得時)
📚 研修費
・Foundation研修:3万〜5万円
・Practitioner研修:4万〜6万円
・セット研修:7万〜10万円
📖 教材費
・公式テキスト:5,000円〜8,000円
・模擬試験:3,000円〜5,000円
🔄 更新費
・Foundation:更新不要(永続資格)
・Practitioner:5年毎に再受験(約81,000円)
📊 PMI公式調査データ(2025年)
日本のPMP取得者の平均年収:約1,072万円(1ドル=146円換算)
💰 経験年数別年収
・3年未満:730万円
・3〜5年:650万円
・5〜10年:700万円
・10〜15年:800万円
・15〜20年:840万円
・20年以上:900万円
📈 非取得者との年収差
世界平均:PMP取得者は非取得者より23%高い年収
日本:差は限定的(約0.4%の差)
🏢 業界別年収(IT分野)
・システムエンジニア:593万円
・高度SE・ITエンジニア:778万円
・プロジェクトマネージャー(PMP取得者):891万円
🌍 海外での評価
欧州・国連機関では高く評価され、プロジェクトマネージャー職で優遇される傾向
🎯 日本市場での現状
・国内でのPRINCE2®認知度は限定的
・外資系・グローバル企業で評価
・政府系・国際機関案件で要求されるケースあり
💡 ROI(投資対効果)分析
・初期投資は比較的低コスト
・欧州系企業での転職で有利
・PMPとの併用で相乗効果が期待できる
📈 日本国内の需要
・doda:200件以上のPMP関連求人
・マイナビ転職:180件以上
・年収1000万円以上の求人:226件
🏢 求人企業の特徴
・大手SIer・システム開発会社
・金融機関(銀行・証券)
・建設・インフラ企業
・コンサルティングファーム
・外資系企業
💼 職種・ポジション
・プロジェクトマネージャー
・PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)
・ITコンサルタント
・システムエンジニア(上級)
🌍 国際機関・政府系
・国連関連機関
・政府系プロジェクト
・国際開発銀行
・欧州系企業の日本支社
📊 求人数の実態
・日本国内:限定的(月10件未満)
・欧州:中堅〜上級レベルで「必須」または「優遇」
・英国:政府系プロジェクトでは必須要件
🎯 特化領域
・大規模インフラプロジェクト
・政府系システム導入
・国際協力プロジェクト
・規制の厳しい業界(金融・医療)
22年間のIT経験と、大手企業でのプロジェクトマネジメント実務を通じて得た知見から、資格選択の判断基準をご提案します。
🎯 日本国内でのキャリア重視
PMPを選択。国内企業での認知度が圧倒的に高く、求人数も豊富です。
🌍 グローバル・欧州系企業志向
PRINCE2®を優先検討。国連や欧州系企業では高く評価されます。
💼 フリーランス・コンサル志向
PMPが有利。実績とスキルの客観的証明として機能します。
🏛️ 政府系・公共機関志向
PRINCE2®が有効。入札要件で指定されるケースが増加中です。
✅ 3年以上のPM経験あり
PMP受験資格をクリア。投資対効果を重視した選択が可能です。
🔰 PM経験が浅い・未経験
PRINCE2® Foundation から開始。受験制約がなく、段階的にスキルアップできます。
📚 理論学習重視
PMPがおすすめ。PMBOKの体系的な知識習得が可能です。
⚡ 実践・プロセス重視
PRINCE2®が適切。What(何をすべきか)に重点を置いたアプローチです。
💰 初期投資を重視(〜10万円)
PRINCE2® Foundation から開始。段階的に投資額を調整できます。
🚀 短期間での資格取得重視
PRINCE2®が有利。受験制約がなく、準備期間が短縮できます。
📈 長期的ROI重視
PMPを選択。日本市場での年収向上効果が期待できます。
🔄 継続学習コスト重視
PRINCE2® Foundation は更新不要。PMPは3年毎の更新が必要です。
🎯 最優先:PMP単独取得
・国内SIer・大手IT企業志向
・3年以上のPM経験あり
・年収アップを最重視
・予算:10万〜15万円
🌍 次善策:PRINCE2® Foundation → PMP
・PM経験が浅い(1〜2年)
・段階的なスキルアップ志向
・グローバル企業も視野
・予算:20万〜25万円(分割投資)
⚡ 特化戦略:PRINCE2® 両方取得
・欧州系企業・国際機関志向
・政府系プロジェクト参画希望
・PM手法の多様性重視
・予算:25万〜30万円
🔥 最強戦略:両方取得(上級者向け)
・プロジェクト管理のプロフェッショナル志向
・コンサルタント・フリーランス独立予定
・国内外問わず活躍希望
・予算:35万〜40万円
22年間のIT業界経験、特に大手企業での仮想デスクトップサービス導入・運用プロジェクトを通じて感じた実情をお伝えします。
🎯 国内プロジェクトでの実感
PMPの知名度は圧倒的で、プライム企業との提案書作成時にも「PMP取得者によるプロジェクト管理」が差別化要因として評価されました。一方、PRINCE2®について言及されたことは22年間で一度もありません。
🌐 グローバル案件での経験
海外ベンダーとの技術検討時、欧州系企業の担当者がPRINCE2®の話題を出すことがありました。特に「組織運営」「ステークホルダー管理」の議論では、PRINCE2®のフレームワークが共通言語として機能していました。
💼 採用・人事評価での実情
社内昇格・異動時の人事面談では、PMP取得は明確なプラス評価でした。特に「3年毎の更新」について「継続的な学習姿勢」として評価される傾向があります。
🎯 圧倒的な市場認知度
日本国内でのプロジェクトマネジメント資格として最も認知されており、求人・転職市場での評価が確立されています。
💰 具体的な年収向上効果
平均年収1,072万円のデータが示すように、明確な投資対効果が期待できます。
📚 体系的な知識習得
PMBOKガイドに基づく包括的なプロジェクトマネジメント知識を習得できます。
🌍 グローバルスタンダード
世界160万人の取得者という実績が、国際プロジェクトでの信頼性を担保します。
🔄 継続学習の仕組み
3年毎の更新により、最新のプロジェクトマネジメント知識を維持できます。
⏱️ 厳格な受験資格
3〜5年のPM経験が必須で、新人・若手エンジニアには取得ハードルが高い設定です。
💸 継続的な費用負担
初期費用に加え、3年毎の更新費用(約2万円)が継続的に発生します。
📖 学習負担の重さ
PMBOK第7版(700ページ超)の習得と、230分の長時間試験への対応が必要です。
🎯 実務とのギャップ
理論中心の内容で、日本企業の実務慣行との差異を感じる場合があります。
🚀 受験の自由度
Foundation試験は経験・学歴不問で誰でも受験可能。段階的なスキルアップに最適です。
⚡ 実践的なアプローチ
「What(何をすべきか)」重視の手法で、組織運営・プロセス管理の実務に直結します。
🔄 永続的な価値
Foundationは更新不要の永続資格。一度取得すれば追加費用が発生しません。
🌍 欧州・国際機関での高評価
国連や欧州系企業では標準的な要求資格として位置づけられています。
💡 相対的な低コスト
PMPと比較して初期投資額が低く、ROIが高い資格です。
📊 日本市場での認知度不足
国内企業での認知度が低く、転職・昇進時の評価が限定的な場合があります。
🎯 特定分野への特化
政府系・国際機関系プロジェクトに特化しており、汎用性がPMPより劣ります。
💰 年収向上効果の不透明性
日本市場での具体的な年収向上データが限定的で、投資対効果を測定しにくい状況です。
📚 学習リソースの少なさ
日本語の参考書・講座が限定的で、自学自習の難易度が高めです。
📝 おすすめできる人・しない人の判定
✅ PMPをおすすめできる人
・3年以上のPM経験がある方
・日本国内でのキャリアアップを重視する方
・年収向上を具体的な目標とする方
・大手企業・SIerでの転職を検討する方
・体系的なPM知識を習得したい方
❌ PMPをおすすめしない人
・PM経験が3年未満の方
・継続的な費用負担を避けたい方
・短期間での資格取得を重視する方
・実務経験申請が困難な方
✅ PRINCE2®をおすすめできる人
・PM経験が浅い、または未経験の方
・欧州系企業・国際機関での活躍を目指す方
・政府系・公共プロジェクトに関心がある方
・段階的なスキルアップを希望する方
・コストを抑えて資格取得したい方
❌ PRINCE2®をおすすめしない人
・日本国内のみでのキャリア形成を考える方
・即座の年収向上を期待する方
・国内企業での認知度を重視する方
・豊富な学習リソースを求める方
💎 総合評価:⭐⭐⭐⭐(4.2/5)
投資対効果: ⭐⭐⭐⭐⭐ – PMP:3年で200万円の年収増効果、PRINCE2®:低コストで専門性獲得
市場価値: ⭐⭐⭐⭐ – PMP:国内市場で圧倒的優位、PRINCE2®:特定分野で高評価
学習負担: ⭐⭐⭐ – PMP:重い学習負担、PRINCE2®:段階的な習得が可能
キャリア汎用性: ⭐⭐⭐⭐ – PMP:幅広い業界で活用、PRINCE2®:特定分野で強力
将来性: ⭐⭐⭐⭐⭐ – 両資格ともプロジェクトマネジメントの重要性拡大で需要増
2025年の現在、プロジェクトマネジメント人材の需要は過去最高水準です。どちらの資格を選んでも、適切な戦略と継続的な実務経験により、必ずキャリアアップに繋がります。重要なのは、自分のキャリア目標と現在のスキルレベルを正確に把握し、データに基づいた合理的な判断を行うことです。
としゆき