Windows 11移行準備の決定版|TPM2.0有効化からデータバックアップまで全手順

Windows 11移行準備の決定版|TPM2.0有効化からデータバックアップまで全手順

Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)が迫る中、Windows 11への移行準備はお済みですか?「移行したいけど、自分のPCが対応しているかわからない」「TPM2.0って何?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

私は22年間のIT運用経験を持つエンジニアとして、数多くのWindows移行プロジェクトを担当してきました。特に企業環境では、事前の要件確認と計画的な移行が成功の鍵となります。個人ユーザーの方でも、正しい手順で準備すれば安心して移行できます。

この記事では、Windows 10から11への移行前に必ず確認すべき項目を、チェックリスト形式で詳しく解説します。TPM2.0の確認方法から互換性ツールの使い方、データバックアップの重要ポイントまで、移行を成功させるための実践的な情報をお伝えします。

Yukishi log 的まとめ

⏰ Windows 10サポート終了は2025年10月14日
セキュリティリスクを避けるため、それまでにWindows 11への移行が必要

💻 CPU要件:Intel第8世代以降、AMD Ryzen2000シリーズ以降
2016年7月以降出荷のPCなら基本的に対応済み

🔐 TPM2.0が最大の確認ポイント
搭載されていても無効化されている場合があるため、BIOS設定での確認・有効化が必要

🛠️ PC正常性チェックアプリが最も確実
Microsoft公式ツールで「今すぐチェック」を実行すれば対応状況が一目でわかる

📊 詳細確認にはWhyNotWin11が有効
どの要件で引っかかっているかを具体的に表示してくれる

💾 移行前のデータバックアップは必須
システムイメージとファイル履歴の両方でリスクを最小化

🔄 要件を満たせばWindows 10から無償アップグレード可能
新規PC購入よりもコストを抑えて最新OSに移行できる

Windows 11移行の基本要件確認

まずは、お使いのPCがWindows 11の基本的なシステム要件を満たしているかを確認しましょう。要件を満たしていない場合は、アップグレードではなく新規PC購入を検討する必要があります。

必須システム要件一覧

💾 メモリ
4GB以上(8GB以上を推奨)

💽 ストレージ
64GB以上の空き容量(実際には90GB以上を推奨)

🎮 グラフィック
DirectX 12対応、WDDM 2.0ドライバー

📺 ディスプレイ
9インチ以上、720p(HD)解像度以上

🌐 インターネット接続
初期セットアップとアップデートに必要

🔐 UEFI対応・セキュアブート
レガシーBIOSでは対応不可

🛡️ TPM 2.0
トラステッド プラットフォーム モジュール 2.0(最重要項目)

対応CPU確認:最も重要な要件

📋 Intel CPU対応リスト
第8世代Core i以降が対象

✅ 対応例:
Core i3-8100、Core i5-8400、Core i7-8700、Core i9-9900K以降

❌ 非対応例:
Core i7-7700K、Core i5-7400など第7世代以前

📋 AMD CPU対応リスト
Ryzen 2000シリーズ(ZEN+世代)以降が対象

✅ 対応例:
Ryzen 3 2200G、Ryzen 5 2600、Ryzen 7 2700X以降

❌ 非対応例:
Ryzen 7 1800X、Ryzen 5 1600など第1世代Ryzen

CPU確認の簡単な方法

スタートボタンを右クリック → 「システム」をクリックすると、「プロセッサ」の項目に現在のCPU名が表示されます。Intel製なら「i5-8400」のように、数字の最初の1桁(この場合は8)が世代を表しています。AMD製なら「Ryzen 5 3600」のように、最初の数字(この場合は3)が世代を表しています。

TPM2.0の確認と有効化手順

TPM2.0は、Windows 11で最も重要な要件の一つです。2016年7月28日以降に出荷されたWindows 10搭載PCには基本的に搭載されていますが、無効化されている場合があります。

ステップ1:現在のTPM状況を確認

🔍 方法1:Windowsセキュリティからの確認
設定 → 更新とセキュリティ → Windowsセキュリティ → デバイスセキュリティ

📊 確認ポイント
「セキュリティプロセッサ」の項目でTPM2.0の状態を確認

🔍 方法2:TPM管理コンソールでの確認
Windows + R → 「tpm.msc」と入力 → Enter

📊 確認ポイント
「状態:TPMは使用する準備ができています」「仕様バージョン:2.0」と表示されればOK

🔍 方法3:デバイスマネージャーでの確認
スタートボタン右クリック → デバイスマネージャー → セキュリティデバイス

📊 確認ポイント
「トラステッド プラットフォーム モジュール 2.0」が表示されているか

ステップ2:TPM2.0の有効化(必要な場合)

⚙️ BIOS/UEFI設定へのアクセス
設定 → 更新とセキュリティ → 回復 → 「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」

🔧 詳細オプションから起動
オプションの選択 → トラブルシューティング → 詳細オプション → UEFIファームウェアの設定

🛠️ TPM設定の場所(メーカー別)
Security → TPM 2.0(多くのメーカー共通)
Advanced → PCH-FW Configuration → TPM(Intel系)
AMD fTPM Configuration(AMD系)

✅ 有効化の実行
TPM 2.0を「Enabled」に設定 → 設定保存 → 再起動

BIOS設定時の重要な注意点

BIOS/UEFI設定は慎重に行ってください。不明な設定は変更せず、TPM関連の項目のみを操作することが重要です。また、メーカーによって設定項目名や場所が異なるため、マニュアルを確認するか、メーカーサポートに相談することをおすすめします。設定変更後は必ず保存してから再起動してください。

互換性チェックツールの活用方法

手動での確認に加えて、専用ツールを使用することで、より確実かつ簡単にWindows 11対応状況を確認できます。

Microsoft公式:PC正常性チェックアプリ

📥 ダウンロード方法
Microsoft公式サイト「Windows 11」ページ → 「互換性の確認」→ 「PC正常性チェックアプリのダウンロード」

💿 インストール手順
ダウンロードした「WindowsPCHealthCheckSetup.msi」を実行 → 使用許諾契約に同意 → インストール

🔍 チェック実行
アプリ起動 → 「今すぐチェック」ボタンをクリック

📊 結果の解釈
「このPCでWindows 11を実行できます」→ 移行可能
「このPCではWindows 11を実行できません」→ 要件未達成、詳細確認が必要

より詳細な確認:WhyNotWin11

🎯 利用メリット
どの要件で引っかかっているかを項目別に詳細表示

📥 入手方法
GitHub公式ページから「WhyNotWin11.exe」をダウンロード

🚀 使用方法
ダウンロードしたファイルを実行するだけで自動チェック開始

📋 確認項目一覧
Architecture(64bit CPU・OS)、Boot Method(UEFI)、CPU Compatibility、DirectX + WDDM2、Disk Partitioning(GPT)、RAM Installed、Secure Boot、Storage Available、TPM Version

🎨 結果表示
緑色:要件を満たしている
赤色:要件を満たしていない
黄色:部分的に満たしている

コマンドライン版:Win11SysCheck

🖥️ 特徴
コマンドウィンドウで実行する軽量なチェックツール

📥 入手・実行
GitHubからダウンロード → 「管理者として実行」を許可

📊 結果確認
非対応コンポーネントがある場合、最後に一覧表示される

データバックアップ:移行前の必須準備

Windows 11への移行作業中にトラブルが発生した場合、データが失われる可能性があります。移行前には必ずデータのバックアップを取りましょう。

Windowsバックアップ機能の活用

☁️ OneDriveとの統合バックアップ
OneDriveにサインインした状態で、設定 → バックアップの設定

📂 バックアップ対象
デスクトップ、ドキュメント、ピクチャフォルダを自動同期

⚙️ 設定手順
「フォルダー」をクリック → バックアップしたい項目をオン → 「バックアップ」をクリック

ファイル履歴機能でのバックアップ

💽 外付けストレージへのバックアップ
外付けHDDやUSBメモリを接続 → 設定 → ファイル履歴

🔧 設定手順
「ドライブの選択」→ バックアップ先を選択 → 「オンにする」

⏰ バックアップ頻度
「詳細設定」から10分〜24時間の間で設定可能

システムイメージバックアップ

🖥️ PC全体のイメージ保存
OSやアプリケーション、設定をすべて含む完全なバックアップ

🔧 作成手順
設定 → システム → バックアップと復元(Windows 7)→ システムイメージの作成

💽 保存先選択
外付けHDD、ネットワーク場所、DVDなどを選択可能

⏱️ 所要時間
データ量により1〜6時間程度(500GB環境で約2〜3時間)

移行前の事前準備チェックリスト

技術的な要件確認に加えて、移行をスムーズに進めるための事前準備も重要です。以下の項目を移行前に必ず確認・準備しておきましょう。

アカウント・ネットワーク情報の確認

👤 Microsoftアカウント情報
メールアドレスとパスワードを確認・メモしておく

🌐 Wi-Fi接続情報
SSID(ネットワーク名)とセキュリティキー(パスワード)を控えておく

🔑 重要なサービスのログイン情報
よく使用するウェブサービスやアプリのID・パスワード

📧 メール設定情報
メールアプリ使用時のサーバー設定情報

ソフトウェア・ライセンス情報の整理

💿 インストール済みソフトの確認
現在使用中のアプリケーション一覧を作成

🔑 ライセンスキーの保管
有償ソフトのプロダクトキーを確認・保存

🆕 Windows 11対応状況の調査
重要なソフトがWindows 11で動作するか確認

📥 インストーラーの準備
必要なソフトのインストーラーをダウンロード・保存

ハードウェア・周辺機器の対応確認

🖨️ プリンタードライバー
使用中のプリンターのWindows 11対応ドライバーを確認

📷 その他周辺機器
Webカメラ、スキャナー、外付けHDDなどの対応状況

🎮 ゲーム用デバイス
ゲームコントローラーやヘッドセットの対応確認

⚡ ACアダプター接続
ノートPCの場合、移行作業中は必ずACアダプターを接続

企業環境での追加考慮事項

企業環境でのWindows 11移行では、個人利用とは異なる観点での準備が重要です。22年間のIT運用経験から、企業移行で特に重要なポイントをお伝えします。

セキュリティポリシーとの整合性確認

🛡️ BitLocker暗号化の設定
Windows 11のデフォルト暗号化設定と企業ポリシーの整合性確認

🔐 Windows Hello設定
生体認証の利用可否と設定要件の確認

📋 グループポリシー適用
既存のグループポリシーがWindows 11で正常動作するか検証

🌐 ネットワークセキュリティ
VPN接続やファイアウォール設定の継続性確認

業務アプリケーションの互換性検証

🏢 基幹システムアクセス
ERPや会計システムへのアクセス可否を事前検証

📊 専門ソフトウェア
CADソフト、統計解析ツールなどの専門アプリケーション対応確認

🌐 ブラウザベースシステム
社内ポータルやWebアプリケーションの動作確認

🖨️ 複合機連携
スキャンtoフォルダーや認証プリントなどの複合機機能

段階的移行計画の立案

🧪 パイロット環境での検証
少数の検証用PCで先行移行を実施し、問題点を洗い出し

📅 部門別移行スケジュール
重要度・緊急度に応じた段階的移行スケジュールの策定

🆘 ロールバック計画
移行に失敗した場合のWindows 10復旧手順の準備

📞 サポート体制
移行期間中のユーザーサポート体制とエスカレーション手順

Good:Windows 11移行準備の評価ポイント

🎯 要件確認の手順が明確で実行しやすい
TPM2.0確認からCPU対応まで、段階的に進められる具体的な手順を提供

🛠️ 複数のチェックツールで確実性向上
Microsoft公式ツールとサードパーティ製ツールを併用することで、確実な対応状況確認が可能

💾 包括的なバックアップ戦略
ファイル単位からシステム全体まで、複数のバックアップ手法で万全のリスク対策

🏢 企業環境への配慮が充実
セキュリティポリシーや業務アプリケーション対応など、法人特有の課題にも対応

⏰ 段階的アプローチで失敗リスク最小化
一度に全てを移行するのではなく、検証→準備→実行の手順で安全性を確保

注意点:移行時に気をつけるべきポイント

⚠️ BIOS設定変更は慎重に実行
TPM有効化以外の設定は変更せず、不明な項目には触れないことが重要

🔄 アップグレード中の電源切断厳禁
移行作業中の電源切断やシャットダウンはシステム破損の原因となる

💽 十分なストレージ容量確保
最低64GBでも実際には90GB以上の空き容量が安全

🕒 移行作業の時間確保
データ量によっては数時間かかるため、時間に余裕を持って実行

📱 代替手段の準備
移行中にPCが使用できない期間の業務継続手段を準備

システム管理者としての実体験

22年間のIT運用経験で数多くのOS移行を担当してきましたが、Windows 11移行で最も重要なのは「TPM2.0の事前確認」です。企業環境では、TPM無効化で移行できないPCが予想以上に多く、事前調査なしでは大幅なスケジュール遅延が発生します。個人ユーザーの方も、必ずバックアップを取ってから移行作業を開始してください。「移行前の準備に時間をかけすぎる」ということはありません。準備が移行成功の鍵です。

Windows 10から11への移行は、適切な準備さえ行えば決して難しい作業ではありません。重要なのは、慌てずに段階的に準備を進めることです。

まずはPC正常性チェックアプリで基本的な対応状況を確認し、TPM2.0の有効化が必要であればBIOS設定で対応する。そして、万が一に備えてデータのバックアップを必ず取る。この3つのステップを確実に実行すれば、安心してWindows 11への移行を進められます。

企業環境では、さらに業務アプリケーションの互換性確認や段階的移行計画の策定が重要になります。パイロット環境での事前検証を経て、問題点を洗い出してから本格展開することで、業務への影響を最小限に抑えられます。

Windows 10のサポート終了まで残り時間は限られています。しかし、焦って準備不足のまま移行するのは禁物です。このチェックリストを参考に、計画的で確実な移行準備を進めてください。

としゆき

Windows 11移行は「準備が9割」。TPM確認とバックアップさえ万全なら、あとは手順通りに進めるだけ。焦らず確実にいこう。