Yukishi log.
また日曜日の夕方がやってきました。なんとなく胸がざわつき始めて、「ああ、明日からまた一週間が始まる」とため息をついてしまう。そんな経験、ありませんか？私も長い間、この憂鬱な感覚と付き合ってきました。
でも最近、少しずつ気づいたことがあります。月曜日の朝を憂鬱に迎えるか、それとも少しだけ楽しみにできるかは、実は小さな工夫次第なのかもしれません。今日は、週のはじまりに心を軽やかにしてくれる「ちょっとの魔法」について、一緒に考えてみませんか。
心理学の世界では、月曜日が近づくにつれ憂鬱になる心理のことを「ブルーマンデー症候群」と呼んでいます。日曜日の夕方頃から「サザエさん」を観ながら感じるあの憂鬱感も、実はこの現象の一部なんですね。
休日になると仕事から解放され、緊張感がほぐれてリラックスした気分になりますが、日曜日の夜になると、ついつい無意識に明日からの仕事について考えて緊張感が増し、憂鬱な気分になってしまいがちです。特に、休日が楽しければ楽しいほど、平日との落差が大きく感じられて、余計に月曜日が重く感じられるのかもしれません。
でも、これは決して珍しいことではありません。むしろ、働く多くの人が経験している自然な心の反応なのです。だからこそ、この気持ちと上手に付き合っていく方法を見つけることが大切だと私は思うのです。
私が最近実践しているのは、月曜日の朝を迎えるのが楽しみだと思えるようなものを用意しておくことです。それは決して大げさなものではありません。例えば、少しだけ良いコーヒー豆を買っておいて、月曜日の朝だけは特別なコーヒーを淹れるとか。
コーヒーの香りには不思議な力があります。香りが私たちをリラックスさせてくれるか否かは、脳波の状態を測定することで確認することができ、α波を増やしてくれる香りとして、コーヒーやウイスキーがあるそうです。つまり、コーヒーの香りは科学的にも心を落ち着かせてくれる効果があるということなんですね。
私の場合は、日曜日の夜にコーヒーをセットして、月曜日の朝にタイマーで淹れておくようにしています。目覚めた瞬間に部屋に広がるコーヒーの香りが、「今日も一日、頑張ろう」という優しい気持ちを運んできてくれるような気がするのです。
もう一つの「魔法」は、音楽です。音楽は、生活の中で私たちに寄り添い、さまざまな機能を果たしています。朝の支度をしながら聴く音楽が、一日の気分を左右することってありませんか？
音楽を聴くことで、ドーパミンやセロトニンといった幸福感をもたらす神経伝達物質が分泌されます。これにより、ストレスや不安を感じるホルモンの分泌を抑制し、同時にリラックス効果をもたらしてくれるのです。つまり、音楽は私たちの心を科学的にサポートしてくれているということなんですね。
私は月曜日の朝専用のプレイリストを作っています。激しい音楽ではなく、優しくて前向きになれるような曲を集めました。洗顔をしながら、朝食を食べながら、家を出る準備をしながら、その音楽が私の背中をそっと押してくれるのです。
朝の音楽選びで大切なのは、自分が心地よく感じる曲を選ぶことです。アップテンポな曲が好きな人もいれば、ゆったりした曲で一日を始めたい人もいます。大切なのは、その音楽を聴いている時に「今日も大丈夫」と思えるかどうかです。
一日の始まりに自分で計画した行動をすることで、思考が整理され、忙しい日でも落ち着いてタスクを処理できるという心理学的な効果もあります。つまり、朝の習慣を整えることは、一日全体をより良いものにしてくれるということなんですね。
私がおすすめしたいのは、朝の15分間だけでも「自分だけの時間」を作ることです。それは読書でも、ストレッチでも、日記を書くことでも構いません。大切なのは、その時間を「誰のためでもない、自分のための時間」にすることです。
例えば、コーヒーを飲みながら窓の外を眺めるだけでも十分です。慌ただしい朝の中でも、ほんの少しだけ立ち止まって、自分の心と向き合う時間を持つ。それだけで、一日の始まりが少し違って見えてくるかもしれません。
ここで大切なことは、「毎朝必ずやらなければならない」というプレッシャーを作らないことです。月曜日の朝に特別なコーヒーを飲めなかった日があっても、音楽を聴き忘れた日があっても、それで自分を責めてしまっては本末転倒です。
真面目で完璧主義の傾向にある方も、憂鬱だと感じやすいそうです。命じられた仕事を完璧にこなそう、絶対失敗してはいけないというプレッシャーから、ブルーマンデー症候群を引き起こしている可能性があるという研究もあります。朝の習慣も同じで、完璧にやろうとしすぎると、かえってストレスになってしまうかもしれません。
「今日はコーヒーを飲む時間がなかったけれど、お気に入りの音楽だけは聴けた」「音楽は聴けなかったけれど、深呼吸を3回してから家を出ることができた」。そんな風に、できたことに目を向けてみてください。
実は、月曜日を気持ちよく迎えるためには、週末の過ごし方も大切です。休日に生活リズムを大きく乱すことは人間の体内時計のリズムも狂わせてしまい、そのことが月曜日の朝がつらくなる「ブルーマンデー症候群」を引き起こすという指摘もあります。
といっても、週末くらいゆっくりしたいですよね。私も平日よりは遅く起きるし、夜更かしもします。ただ、日曜日の夜だけは少しだけ意識して、月曜日の自分に優しい準備をするようにしています。
例えば、着る服を前の晩に選んでおく、翌日使うものを整理しておく、少しだけ早めにベッドに入る。そんな小さな準備が、月曜日の朝の自分を助けてくれるのです。
考えてみれば、月曜日って新しい可能性に満ちた日でもありますよね。先週うまくいかなかったことがあっても、今週はきっと違うかもしれない。新しい出会いがあるかもしれないし、思いがけない発見があるかもしれません。
コーヒーの香りも、お気に入りの音楽も、朝の静かな時間も、すべてが「今週もよろしくお願いします」という、自分自身への優しいエールなのかもしれません。
もちろん、毎週が輝いて見える必要はありません。時には重たい月曜日もあるでしょう。でも、そんな時でも「今日は一杯のコーヒーから始めよう」「今日は好きな音楽を聴きながら出かけよう」と思えるなら、それだけで少しだけ歩きやすくなるかもしれません。
週の始まりを少しでも軽やかにするために、こんな小さな習慣はいかがでしょうか。日曜日の夜に、翌日使うコーヒーや紅茶を特別なものにしてみる。月曜日の朝に聴きたい音楽を3曲だけでも決めておく。朝起きたら、まず窓を開けて深呼吸を3回してみる。そして何より大切なのは、完璧を求めすぎないこと。できる時にできることを、自分のペースで続けてみてください。
月曜日がやってくるたび、私たちはコーヒーとちょっとの魔法を用意します。それは決して大げさな魔法ではありません。ただ、自分自身を大切にして、新しい一週間を迎える準備をする。そんな優しい魔法です。
あなたも、どんな小さな魔法を用意してみますか？
