何の略称か知らずに使っていた「SOS」は20年も前に廃止されていた

SOSは救難信号(助けを求める合図)という事は知っている人も多いかと思います。でも、SOSが何の略なのか、どうして使われるようになったのかという事まで知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は、そんなSOSの正式名称、歴史についてシェアします。

SOSは船舶や航空機の救難信号

このSOS、元々は船舶や航空機が遭難時に発信するモールス信号でした。1800年代の後半、無線通信の進歩によって船舶も無線を利用した通信を行うようになりましたが、世界共通の遭難信号は存在していませんでした。

世界共通で使われる遭難信号は、1903年にベルリンで開催された「無線電信予備会議」で初めて提案され、3年後の1906年に開催された第1回国際無線通信会議で世界共通の遭難信号として規定(発効日は1908年)されました。

SOS = Save of Souls

世界共通の遭難信号として使われることになったSOS。Save Of Souls、もしくはSave Of Shipを意味していると言われていますが、後付けです。先にSOSに決まって言葉が考えられました。

共通化される前には各国で利用されている遭難信号がありましたが、ドイツが利用していたSOSが、モールス信号にした際に聞き間違いがないという点で採択されました。

共通化前の遭難信号
  • アメリカ系 NC
  • マルコーニ国際海洋通信会社 CQD

他にも様々で、艦長判断でHELPと信号を発信した例もありました。

SOSは、モールス信号にすると「・・・― ― ― ・・・」という送打電しやすい信号パターンになっています。

ちなみに電話で遭難を知らせる時は「Mayday(メーデー)」が使われます。ここのメーデーはフランス語のm’aidez (私を助けて)が語源です。

遭難信号は新しい時代へ

長らくモールス信号を用いた遭難信号(SOS)の時代が続いていましたが、1979年に発効されたSAR条約(International Convention on Maritime Search and Rescue)によって、SOSの時代は終わりを迎えました。

現在ではGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:全世界的な海上遭難・安全システム)が世界的に利用されています。

GMDSSを導入した目的

将来的な船舶の自動化と少人数化に対応するため、人工衛星を含めた近代通信技術を用いて信頼性の高い自動化された通信ができるようにしたものです。

従来ならモールス信号を取り扱うことができる専門の通信技術者が乗船する必要がありましたが、現代の遭難通信システムでは通信技能を持たない乗組員でも扱えるようになりました。

日本国内では、SAR条約を受けて1992年から新しい通信技術を用いた運用が実施されています。この適用のために、船舶安全法、船舶設備規定、船舶職員法、電波法等の国内関連法規も改訂されました。

4 COMMENTS

マッキー44

SOSがなくなっていたなんて、まったく知りませんでした。
それもそんな昔に、廃止になっていたなんて。
メーデーの語源も気になっていたのに、初めて知りました。
勉強になりました。

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としゆき

マッキー44さん。コメントありがとうございます。ですよね。SOSが廃止になっていたなんて知りませんでした。でも、テレビを見ているとSOSって未だに使われていることがありますよね。廃止になったけれど、認知度としてはSOSが現役なんでしょうね。

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りー

モールス信号で伝えやすいためだったんですね!GMDSSって正直覚えにくい…と思ってしまいました。それにしても自分が生まれる前にはSOSが廃止されてたなんて、驚きました(笑)

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わかこ

確かに子供の頃はSOSって言ってたけどいつのまにか使わなくなりました。死語になっちゃうのかなぁ…もう死語だったりして。とはいえ、命が助かりやすくなったのは良いことです。技術の進歩はめざましい。

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