似ているけれど、実は違う。「留意」と「注意」の意味と使い方

「ご注意ください」とか、「ご留意ください」なんて文字を目にする事があります。注意点、留意点なんて言葉もありますね。よく目にする言葉ですが、この2つの違いって説明できますか? 今回は「留意」と「注意」の意味や使い方をシェアします。

留意と注意の意味

小学館提供のデジタル大辞泉で留意と注意の意味を調べてみました。

留意の意味

  • ある物事に心をとどめて、気をつけること。
「留意」が使われている文例1
欧州の社会でも、男の子と女の子との精神の自覚の上にこれだけのちがいが在らせられているという事実に、私たちは深く留意する必要があると思う。この問題が、もし今日ジョルジ・サンドが「アンジアナ」の序文で希望し説明している方向に解決されている。 – 宮本百合子「若き精神の成長を描く文学」
「留意」が使われている文例2
私が閣下の御留意を請いたいと思う事実には不可思議な性質が加わっているのでございます。ですから、私は以上のお願いを敢て致しました。猶これから書く事も、あるいは冗漫の譏を免れないものかも知れません。 – 芥川竜之介「二つの手紙」

注意の意味

  • 気をつけること。気をくばること。
  • 悪いことが起こらないように警戒すること。用心すること。
  • 気をつけるように傍らから言うこと。忠告。
  • ある一つの対象を選択し、認知・明瞭化しようと意識を集中する心的活動。同時に、その他のものは抑制・排斥される
「注意」が使われている文例1
しかし、内蔵助の笑わなかったのは、格別二人の注意を惹かなかったらしい。いや、人の好い藤左衛門の如きは、彼自身にとってこの話が興味あるように、内蔵助にとっても興味があるものと確信して疑わなかったのであろう。 – 芥川竜之介「或日の大石内蔵助」
「注意」が使われている文例2
こんな事のあったとは、彼は夢にも知らなかった、相変らず旅廻りをしながら、不図或宿屋へ着くと、婢女が、二枚の座蒲団を出したり、お膳を二人前据えたりなどするので「己一人だよ」と注意をすると、婢女は妙な顔をして – 小山内薫「因果」

留意と注意の使い分け

辞書で言葉の意味を調べると、どちらもの結果にも「気をつけること」という文字が出てきました。この点では同じ意味を持っていることが分かりました。

「気をつける」という点においては「留意」も「注意」も同じですが、「注意」には「ある一つの対象を選択し、認知・明瞭化しようと意識を集中する心的活動。同時に、その他のものは抑制・排斥される」という意味が含まれています。ここが大きな違いです。

  • 留意は「ある物事に心をとどめて」なので、気にしておいてねという場合
  • 注意は「1つの事に意識を集中して、他のことを排斥」なので、それだけを考えるような場合

こんな感じで使うのが正解。忘れててもリカバリできるなど、大きな問題にならない事項は「留意」を使い、めちゃくちゃ気にしなければならない時は「注意」を使います。

意識の強さは 留意 < 注意

使われている漢字に注目して見ていきます。

「留意」という言葉に使われている留。これには「留める」という意味があります。「注意」という言葉に使われている注は「注ぐ」という意味。

ここから、留意よりも注意の方が強い表現であることが読み取れます。

漢字からも「注意」には、ある特定の事柄に気持ちを「集中させる」という意味があり、意識を対象に惜しみなく注ぐことが分かりますね。

軽い気持ちで注意と使っているケースを多く見かけますが、本当は留意で良い場合があります。間違った使い方をして変な指摘を受けないようにしたいですね。

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