PMBOKガイド第7版は2021年8月にリリースされ、プロジェクトマネジメントの世界を大きく変えました。第6版まで分厚い辞書のような存在だったPMBOKが、薄くて実用的なガイドに生まれ変わったのです。現役PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)として22年間のIT業界経験を持つ筆者が、要点を5分で理解できるようにまとめました。
🔸 第6版から第7版への大変革
600ページ超→200ページ程度の薄い実用ガイドに変更
🔸 ウォーターフォールからアジャイルへ
プロセス重視から原理・原則重視の柔軟なアプローチに転換
🔸 12の原理・原則が新登場
スチュワードシップ・チーム・価値重視など実践的な行動指針
🔸 8つのパフォーマンスドメイン
10の知識エリアに代わる効果的なプロジェクト運営の8領域
🔸 デジタルコンテンツ化
従来のハウツーはPMI Standards+でオンライン検索可能
🔸 2025年中にPMBOK第8版リリース予定
継続的な進化でプロジェクトマネジメントがさらに実用的に
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PMBOKガイド第7版は、これまでのプロジェクトマネジメントの考え方を根本から変えた記念すべき改訂版です。筆者がSIerで20年以上プロジェクトマネジメントに携わってきた経験から見ても、これほど大胆な変更は過去に例がありません。
📏 ページ数の劇的変化
第6版の600ページ超から約200ページへ激減。実用性を重視した結果です。
💻 アプローチの根本変更
予測型(ウォーターフォール)からアジャイル・適応型アプローチを重視する内容に変更されました。
🌐 デジタル化の推進
従来の詳細なハウツーは「PMI Standards+」というデジタルプラットフォームに移行しました。
実際にプロジェクトの現場で感じる変化を、具体的な対比でお伝えします。筆者は仮想デスクトップサービスの導入プロジェクトで、第6版・第7版両方のアプローチを実践してきました。
⚡ 第6版の構造
10の知識エリア × 5つのプロセス群 = 50の組み合わせで管理
⚡ 第7版の構造
12の原理・原則 + 8つのパフォーマンスドメインで管理
第6版では「立上げ→計画→実行→監視・コントロール→終結」という決まったプロセスを踏む必要がありました。しかし第7版では、プロジェクトの性質に応じて柔軟にアプローチを選択できるようになりました。
第7版の最大の特徴は、具体的な手順よりも「考え方」を重視している点です。22年間の実務経験から見ても、これらの原則は現場で本当に必要な要素ばかりです。
🛡️ スチュワードシップ
倫理観を持ってプロジェクトに取り組む責任ある行動
👥 チーム
高いパフォーマンスを発揮するチーム環境の構築
💎 価値重視
プロジェクトが生み出す価値を常に意識した運営
🎯 ステークホルダー
関係者との効果的なエンゲージメント
⚖️ システム思考
全体最適を考慮した意思決定
🔄 適応と回復力
変化に柔軟に対応する能力
筆者の経験では、特に「価値重視」と「適応と回復力」の原則が、現代のプロジェクトマネジメントで最も重要だと感じています。システム導入プロジェクトでも、技術的な完成度よりもビジネス価値の創出を重視する案件が急増しています。
第7版では「10の知識エリア」に代わって「8つのパフォーマンスドメイン」が導入されました。これらは相互に関連し合いながら、プロジェクトの成功に必要な活動領域を網羅しています。
👥 ステークホルダー
関係者との効果的な関係構築と維持。筆者の経験では、プロジェクト成功の70%はステークホルダーマネジメントにかかっています。
🤝 チーム
高いパフォーマンスを発揮するチーム作り。リモートワークが当たり前になった現在、このドメインの重要性は増しています。
🔄 開発アプローチとライフサイクル
プロジェクトに最適な開発手法の選択。アジャイル、ウォーターフォール、ハイブリッドから最適解を見つけます。
📋 計画
効果的な計画立案と継続的な見直し。第6版ほど詳細ではないが、実用的なアプローチを提示。
🎯 プロジェクト作業
実際の作業実行とプロセス管理。品質確保と効率性のバランスが重要。
🔍 デリバリー
成果物の提供と価値実現。単なる納品ではなく、ビジネス価値の創出を重視。
📊 測定
プロジェクトのパフォーマンス測定と改善。KPIだけでなく、定性的な成果も評価。
❓ 不確実性
リスクと機会の管理。VUCA時代の新しい要素として追加された重要なドメイン。
筆者が実際にITサービスマネジメントの現場で第7版を活用した結果、以下のような変化を実感しています。
🚀 柔軟性の向上
プロジェクトの性質に応じて手法を選択できるため、クライアントのニーズにより適切に対応できます。
📈 効率性の改善
不要なプロセスを省略し、本当に必要な活動に集中できるようになりました。
💡 チーム力の向上
原理・原則ベースのアプローチにより、チームメンバーの自主性と創造性が向上しています。
2021年1月からPMP試験も第7版ベースに変更されました。現役PMPとして受験者にアドバイスできる重要なポイントをお伝えします。
📊 出題領域の変化
「人」42%、「プロセス」50%、「ビジネス環境」8%の3領域から出題されます。
🎯 重視すべき学習ポイント
暗記よりも理解と応用力が重要。実際のプロジェクト状況での判断力が問われます。
⚠️ 受験資格の変更なし
大学卒で3年以上、高校卒で5年以上のプロジェクトマネジメント実務経験は従来通り必要です。
✅ 実用性の向上
分厚い辞書から薄くて使いやすいガイドに変身。現場で本当に使えます。
✅ 現代的なアプローチ
アジャイル・DevOps・リモートワークに対応した内容で時代にマッチ。
✅ 柔軟性
プロジェクトの性質に応じて手法を選択できる自由度の高さ。
✅ 価値重視
技術的完成度よりもビジネス価値の創出を重視する現実的な視点。
✅ デジタル化
PMI Standards+でオンライン検索できる利便性。
⚠️ 学習コストの変化
従来の暗記中心から理解・応用力重視へ。学習方法の見直しが必要。
⚠️ 組織の適応期間
第6版に慣れた組織では、新しいアプローチへの移行に時間がかかる場合があります。
⚠️ 詳細情報の分散
具体的なハウツーがデジタルコンテンツ化されたため、情報収集に工夫が必要。
⚠️ 第8版への準備
2025年中にPMBOK第8版リリース予定。継続的な学習が重要。
PMIから重要な発表がありました。2025年中にPMBOKガイド第8版がリリース予定です。
📅 リリース予定
2025年第3四半期後半から第4四半期(8月〜12月)と予想されています。
📝 PMP試験への影響
第8版リリースから約6ヶ月後(2026年1月〜6月)にPMP試験内容も変更される予定です。
🎯 学習戦略
2025年中のPMP受験がおすすめ。第7版の内容で十分に対応できます。
22年間のIT業界経験とプロジェクトマネジメント実務から得られた、第7版を効果的に活用するための実践的なアドバイスをお伝えします。
💡 原則から始める
12の原理・原則を理解してから、8つのパフォーマンスドメインを学習しましょう。
🎯 実践で検証
小さなプロジェクトから第7版のアプローチを試してみることが重要です。
📚 継続学習
PMI Standards+を活用して、必要な時に詳細情報を参照する習慣をつけましょう。
🤝 コミュニティ活用
PMI日本支部の活動や勉強会に参加して、実践者同士の情報交換を活用しましょう。
PMBOKガイド第7版は、単なる改訂ではなく「プロジェクトマネジメントの新しい時代」への転換点です。筆者が実際の現場で体験した変化を通じて、その真価をお伝えしました。
特に印象的なのは、技術的な完成度よりもビジネス価値の創出を重視するようになったことです。これは44歳のエンジニア歴22年の経験から見ても、現代のプロジェクトマネジメントに必要不可欠な視点だと感じています。
🎯 重要なポイント
第7版は「何をするか」ではなく「どう考えるか」に重点を置いています。これにより、プロジェクトの性質や環境の変化に柔軟に対応できるようになりました。
📈 実務への影響
大手企業向けシステム導入プロジェクトでの実践結果からも、顧客満足度の向上とプロジェクト効率性の改善を確認できました。
🚀 将来展望
2025年中にリリース予定の第8版でも、この「価値重視・柔軟性重視」の方向性は継続されると予想されます。
プロジェクトマネジメントに携わる全ての方にとって、第7版の理解は今や必須の知識です。特にPMP取得を目指す方は、2025年中の受験がおすすめです。
としゆき