プロジェクトを管理することをプロジェクトマネジメント。その管理人はプロジェクトマネージャーと呼ばれます。今回はプロジェクトを無事に完了させるために必要な要件の把握、企業がプロジェクトに対して行うマネジメント方法をシェアします。
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プロジェクトの要件を把握する
プロジェクトの目的が何なのかが明確になっていなければ、プロジェクトの進むべきゴールにたどり着くことはできません。プロジェクトが本格的に動き始める前に要件を明確にしておく必要があります。
いわゆる要件を定義するという部分です。ニーズを把握して要件として固めていきます。この際、単純に意見をニーズとして組み込むだけでなく、意見が挙がった意図をしっかりと理解することが大切です。
プロジェクトマネジメントの組織的責任者となるプロジェクトマネージャーは、顧客のニーズを整理した要件を纏め、プロジェクトメンバーにそれを伝達し、的確な判断を行うことが求められます。
大規模プロジェクト
1つの大きな目標を達成するために、要件や分野ごとにプロジェクトチームを組織することがあります。例えば、保険会社の営業員が持ち歩くタブレット型の端末のリニューアルプロジェクトなど大規模な見直しがされる場合です。
- 物理端末10,000台を新規調達して、各拠点(計200拠点)ごとに入れ替える。
- 物理端末の紛失を考慮し、端末上にデータは保持させないために仮想デスクトップを利用する。
- 業務アプリケーションも入れ替えに併せて改修する。
- 新端末、新業務アプリケーションの使い方の勉強会を支店ごとに開催する。
顧客や利用者などからヒアリングした結果、上記のような要件に定義されたとます。その場合、下記のようなプロジェクトが細分化して進めます。
- 物理端末(手配、キッティング)の入替に対応するプロジェクト
- 仮想化基盤アプリケーションの導入に対応するプロジェクト
- 業務アプリケーションの更新に対応するプロジェクト
- 従業員への教育に対応するプロジェクト
規模が小さい場合は1つのプロジェクトで、それぞれ主担当が割り当てられることもありますが、規模が大きい場合は分野ごとにプロジェクト体制を組織します。各プロジェクトにはリーダーとなるプロジェクトマネージャーを置きますが、さらに各プロジェクトを横断的に統括するプロジェクトマネージャーを置くこともあります。
その複数プロジェクトの個々の結果から組織目標全体の達成度合いを評価して戦略を立てます。
ポートフォリオって聞いたことがありますか? 証券口座を持っている人なんかは馴染みのある言葉だと思います。業界によってポートフォリオという言葉の持つ意味合いは異なりますが、IT業界におけるポートフォリオは金融業界のポートフォリオと同じく「利益の最大化と損失の最小化」を狙って組み合わせます。
金融業界で用いられるポートフォリオ・マネジメントの対象を株や投資信託といった金融商品から、プロジェクトに置き換えたものが Project Portfolio Management(プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント)です。略してPPMと称される場合も多いです
このPPMは、各プロジェクトから得られる情報を、ポートフォリオやプロジェクトの優先順位の決定、人員や予算分配の判断を支援するデータとして活用します。個別のプロジェクトを管理する方法ではなく、すべてのプロジェクトに対して計画、実行、管理、統制を企業組織の戦略に基づいて遂行します。
日本では何か1つの目標達成に向けた範囲でのプロジェクトポートフォリオマネジメントが組まれることが多いですが、企業全体に適用して人員や予算を優先的に分配すべきプロジェクトをコントロールすることが本来の目的です。