健康診断の際に飲まされるバリウム。35才以上になると見た目が牛乳っぽいけれど、粘度のある液体を飲まされるアレです。今回は「あのバリウムという液体の正体って何だ?」という答えをシェアします。
バリウムではなく、胃カメラで検査するところもありますね。
目次 非表示
バリウムの正体
石です。主原料は、英語でbarite(バライト)、日本語では重晶石(じゅうしょうせき)と呼ばれる石です。この石を粉末状にして、健康診断の時に飲むバリウム(X線造影剤)へと加工されています。
かつては日本国内でも、北海道や東北などで微量ながら採掘されていたそうです。現在では100%輸入で賄っています。
JOGMEC石油天然ガス・金属鉱物資源機構のレポートによると、2010年に世界で採掘された重晶石の生産量は690 万トン。中でも中国が360万トンで全体の52%を占めるそう。日本も中国から輸入しています。
この重晶石が使われるバリウムの主な特性は2つです。
- X線を通さない(X線で撮影できる)
- 人体に吸収されない
メリットとしては、X線を通さないから臓器の状態を観察するのに適していること。反面、体内に吸収されないので排出を促してやらないと、いつまでも体内に残ってしまいます。
最悪の場合、腸閉塞や腹膜炎等の症状が出てしまいます。だから、下剤の服用や多めの水分摂取が推奨されているんですね。
バリウム検査は日本発祥
よくよく調べてみると、バリウム検査(胃透視検査)は日本で開発されたものでした。千葉医科大学に所属した2人の医師(白壁彦夫さん、市川平三郎さん)が中心となって開発されたそうです。
日本では現在でも主流のバリウム検査。世界的に目を向けてみると、ほとんどの国で行われていないらしいです。
胃の形状は複雑です。そのため、何枚ものX線写真を撮影して胃に異変がないかを観察することになります。したがって、この検査中に何度も放射線を浴びることになり、1回の検査で10ミリシーベルト以上の放射線を浴びてしまうケースもあるそう。
前途の通り、胃の形状は複雑。バリウム検査で異常を発見できる可能性も低いそうです。そんな理由もあって、日本では当然のように行われているバリウム検査ですが、海外では内視鏡検査の方が一般的。
近年は日本国内でも内視鏡検査(胃カメラ)を採用する医師が増えているそうです。
今回は「バリウムって何だ?」という観点で調べてみたら、世界で行われている検査を通じて、バリウム検査のリスクが見えてきました。
もし健康診断を内視鏡検査に切替できるようであれば、検討してみても良いかもしれない。
バリウムは毎年やってきますが、昔に比べれば、味は格段によくなったと思います。しかし、バリウム検査の後のトイレが悩み。下手をすると、バリウムが便器排水溝で固まり、水が詰まることがあります。幸い大惨事には至っていませんが、いつも冷や冷やします。